太鼓のバチの先っぽは「丸い」とよく言われますが
実はこの“丸”にもいろんな表情があるんです
少し平らに近い丸、ころんとした丸、なめらかに長くつながる丸--
同じ“まるい”でも、ひとつとして同じ形はありません
音を変える、わずかな丸み
ほんの少しのカーブの違いで、音の印象って変わるんです
ちょっと平らだと、太鼓の面にしっかり当たって「ドン」と芯のある音
しっかり丸いと、やわらかく包み込むような響きになります
「ちょうどいい丸」は、太鼓の種類や叩く人によっても違います
だからこそ、一本一本の削りの中で“その人の音”を思い浮かべながら
微妙な形を見極めていくんです
手と木の対話から生まれる“まる”
木の硬さ、乾き具合、木目の向き
その日の湿度や刃の切れ味まで、丸みの仕上がりに影響します
機械の数値だけでは出せない“やわらかさ”は
指先の感覚から生まれるもの
だから、私たちは削りながら考え、感じながら削ります
「この木はここまで」「このバチはこの角度」--
そんな感覚の積み重ねが、音の個性をつくっていくんです
バチの先の“まるい”は、ただの形じゃありません
音のための丸、手のための丸、そして人の感覚がつくる丸
同じ“丸”の中にも、いくつもの“想いのかたち”があります


